特別企画
招待講演(9月1日(水))
IoTエッジコンピューティングに向けた小型低電力プロセッサSubRISC+
原 祐子 先生(東京工業大学 工学院 情報通信系)
本講演では,IoTエッジコンピューティングに向けた小型低電力プロセッサSubRISC+のプロジェクト,および,その成果について紹介する.SubRISC+の命令セットは4命令と非常にシンプルながら,軽量データ処理をリアルタイムに実行することができる.軽量データ処理の実用的なアプリケーションとして,ヘルスケアの異常検出を対象にケーススタディを行った結果,従来の組込みプロセッサに比べ,回路面積0.51倍,電力効率2.7倍,エネルギー効率3.8倍を達成した.これらの結果より,様々な小型IoTエッジデバイスへの応用が期待できる。
招待講演(9月1日(水))
ACRiルームの作り方と活用事例
三好 健文 様(わさらぼ合同会社/ACRi)
アダプティブコンピューティング研究推進体(ACRi)は,FPGAを活用したシステムの開発及びその設計を効率化するためのFPGA活用基盤の開発を目指しています.ACRiの活動の一環として開設したACRiルームでは,開発したシステムを含むFPGA関連技術の普及を目的として,リモートで利用可能なFPGAと開発環境を提供しています.
本講演では,ACRiルームを開設するにあたって得られた知見を共有し,また,ACRiルームのFPGAを使った取り組みを紹介します.
招待講演(9月2日(木))
想定外に備えたシステムレベル設計技術~はやぶさ2の成果~
檜原 弘樹 様(NECスペーステクノロジー、日本電気宇宙システム事業部)
2020年12月6日、はやぶさ2は無事に小惑星Ryuguで採取したサンプルの入ったプセルを地球にまい降ろすことができた。これは、計画、研究、設計、分析、試験、運用、評価の各フェーズにおける関係者の創意工夫と努力の成果であった。はやぶさ2の自動運転と科学観測に用いられた光学航法用の組込みコンピュータの設計を行う際に、はやぶさ初号機の経験を活かす上で最も配慮したのは、想定外の事象に備えるためのアーキテクチャ設計と、設計手法の選択であった。システムレベルから実装レベルまでのさまざまな階層で適用したソフトウェア,ハードウェア協調設計手法を振り返る。
招待講演(9月3日(金))
コヒーレント通信用DSPの開発
堀越 建吾 様(NTT未来ねっと研究所)
現在の光通信はコヒーレントデータ伝送方式によって支えられている。コヒーレント光伝送方式では、偏波や直交位相など光波の自由度をフルに活用して通信を行うため高い伝送容量を達成できる。しかし、光の波形は光ファイバを伝送する際に波長分散や偏波回転などで大きく乱れるため、送受信機で波形歪の補償が必要である。また、大容量のデータ伝送のためには、高度な誤り訂正符号が必要である。これらの演算を高速で実行するため、コヒーレント光通信は強力なデジタル信号処理装置(DSP)を必要とする。本講演では、コヒーレント通信の仕組みとDSPの研究開発、およびその最新動向について紹介する。