特別企画
招待講演(8月30日(水))
断熱量子磁束回路を用いた超低消費エネルギー論理回路技術
吉川 信行 先生(横浜国立大学)
高速性に優れた超伝導量子磁束回路を断熱的に動作させることにより、
CMOS回路に対して5桁以上エネルギー効率に優れた論理回路を構成することできる。
近年、この断熱量子磁束パラメトロン(adiabatic quantum flux parametron: AQFP)
を用いて小規模なマイクロプロセッサの動作実証が行われている他、量子ビット制御
回路や可逆回路への応用が進められている。AQFP回路は多数決ゲートを基本ゲートとし、
多層交流電流により駆動される。また、配線長やファンアウトの制限があり、
大規模論理回路の設計に際しては既存のトップダウン設計環境を用いることができない。
本講演では大規模AQFP回路の設計における課題と今後の展望について述べる。
招待講演(8月31日(木))
集積回路が「道具」になるためのオープンソースの意義
秋田 純一 先生(金沢大学)
ムーアの法則に基づく半導体集積回路の進化は、単にコンピュータの性能向上
のみならず、小型化・低価格化を可能とし、それがコンピュータの利用分野の質的な
変化と拡大をもたらしてきた。その一方で、集積回路関連技術高度に複雑化・専門化
されたことにより、それらに要するコストが急激に増大したことが、集積回路への
新規参入の障壁となりかねず、教育的にも産業的にも集積回路のユーザの多様性を
狭めている現状がある。著者らはこれまで、情報技術の実現手段である集積回路が、
多様なユーザにとっての真の「道具」になることの意義について論じ、その実践として、
オープンソースな設計環境の構築とコミュニティでの実践を通して、集積回路LSIの
ユーザの質的な拡張を試みてきた。本稿では、その背景と概要について述べる。
招待講演(9月1日(金))
不揮発性ロジックで拓くエッジAIハードウェアへの挑戦
羽生 貴弘 先生(東北大学)
AI(artificial intelligence)処理をクラウド側のみならず,
端末(edge)側へも持たせ,AI技術の実世界応用をより一層加速させる研究開発が
進められている.本講演では,エッジAIハードウェア実現へ向けた問題点と
その解決策として,磁気トンネル接合(magnetic tunnel junction;MTJ)素子などの
不揮発性記憶機能をコンピュータシステムへ細粒度に内蔵させた回路構造(不揮発性
ロジック)を紹介する.また,不揮発性ロジックに基づいたエッジAIハードウェアの
事例等を述べる.
特別セッション(9月1日(金)):ハードウェアセキュリティ研究セッション
深層学習技術を用いたサイドチャネル攻撃
吉田 康太(立命館大学)
Echo TEMPEST: 電子機器への意図的な電磁妨害による情報漏えいの脅威と対策
鍛冶 秀伍(奈良先端科学技術大学院大学)
FPGAにおけるレーザー検知用デジタルセンサの評価
林 俊吾(横浜国立大学)